花粉症(アレルギー)について

毎年、春が近づくにつれて花粉症の心配をされる方も多いのではないでしょうか?現在、日本の花粉症患者数は2000万人以上ともいわれています。毎年2月頃になると、スギ花粉の飛散量などの情報がニュースや天気予報で取り上げられるなど、花粉症に関する話題は現代の日本人にとって関心の高いものになっています。そこで、花粉症について簡単にご説明し、花粉症に対して効果がある食品・成分を紹介したいと思います。

Ⅰ.アレルギーを引き起こす原因物質  アレルギー症状を引き起こす原因物質をアレルゲンと呼びます。このアレルゲンは人により大きく変わってきますが、ハウスダストやダニ、食品では牛乳、卵、大豆などがアレルゲンになりやすい物質として挙げられています。そして最も有名であると思われるアレルゲンが花粉症の原因である「花粉」です。

Ⅱ.アレルギーの分類

花粉症はアレルギーの1つですが、そのアレルギーも以下のように発症メカニズム等により、Ⅰ~Ⅳ型の4つに分類されます。

Ⅰ型アレルギー:抗体(IgE)が血液や粘膜中に存在する肥満細胞や好塩基球と結合し、アレルギー症状を誘発する物質が放出されることによって発症するアレルギーです。 Ⅱ型アレルギー:何らかの原因により、自分の細胞がアレルゲンとして認識されてしまい、自分の抗体(IgM、IgG)が自分の細胞を攻撃してしまうことにより発症するアレルギーです。 Ⅲ型アレルギー:免疫反応により、アレルゲンや抗体などが互いに結合した免疫複合体が形成されますが、この免疫複合体が血液によって運ばれた先の組織を障害することによって発症するアレルギーです。 Ⅳ型アレルギー:アレルゲンが体内に侵入すると、T細胞がマクロファージなどアレルゲンを除去するための物質を活性化させますが、この反応が過剰に行われることによって発症するアレルギーです。

花粉症はこのうちⅠ型アレルギーに含まれ、その他にも喘息やアトピー性皮膚炎も花粉症と同じⅠ型アレルギーに分類されます。

Ⅲ.花粉症(アレルギー)症状の発症機序

花粉症では、目や鼻に花粉が接触したり、体内に侵入したりすると、体内の免疫系がアレルゲンを異物と認識し、排除しようとします。このとき、免疫系は害を及ぼすアレルゲンを攻撃する抗体というものを作り出します。抗体は大きく分類すると、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5種類がありますが、花粉症を代表とするⅠ型アレルギーでは主にIgE抗体が関与しています。 このIgEが血液や粘膜中に存在する肥満細胞や好塩基球と結合することで、化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエン等)が遊離します。このヒスタミン、ロイコトリエンにはそれぞれ以下のような役割があり、症状を誘発します。

・ヒスタミン 役割:血管拡張作用(血流量増加)、血管透過性亢進 症状:かゆみ、くしゃみ、鼻汁の分泌増 ・ロイコトリエン 役割:鼻粘膜膨張、粘膜分泌、血管透過性亢進 症状:粘膜が腫れる(目、鼻)、鼻づまり

Ⅰ型アレルギーはIgEと肥満細胞と結合量が増えていき、結合量が「許容量」を超えた時に発症すると考えられています。 Ⅰ型アレルギーはアレルゲンに対する過剰な攻撃により、周辺の組織が障害を受けるために症状が発症します。我々は日常生活において様々なアレルゲンにさらされており、抗体は常にアレルゲンを攻撃し、除去していますが、それは周辺の組織に影響を与えない程度のものです。しかし、3月、4月といった季節では花粉という、大量のアレルゲンにさらされるため、体内では抗体がアレルゲンに対する攻撃が活発に行われます。その結果、組織に障害を与え、これまで発症していなかった人も急に発症することがあります。そのため、花粉症でない人も花粉症を予防するためには花粉対策を行う必要があり、花粉の飛散量の多い年では特に重要であると考えます。

Ⅳ.花粉症に有効な食品・成分の紹介

現在、花粉症を含めアレルギーに効果があると謳うサプリメントが販売されています。それらの商品に使用されている成分をご紹介致します。

1.甜茶

甜茶(テンチャ)とは中国に自生するバラ科キイチゴ属の植物で、中国茶の1種として利用されています。甜茶の「甜」は甘い意味を示し、文字通り甘みのあるお茶です。サプリメントには、甜茶の葉の熱水抽出物を濃縮したもの、または粉末状にしたものがよく使用されます。

甜茶には、アレルギー症状を発現させる物質である「ヒスタミン」の分泌を抑制する作用があります。その他、炎症の原因物質(プロスタグランジン)を生成する酵素(シクロオキシゲナーゼ)を阻害する作用もあります。甜茶にふくまれる特有のポリフェノールにこれらの働きがあると考えられています。

これらの作用は、アレルギー症状の発現の過程を抑制させるため、症状の発症する前に予防目的で摂取する方が効果を実感しやすいと考えます。ヒトを対象に行われた臨床試験においても、症状発症前から飲んでいたほうが、症状が改善しやすいとの報告がされています。従って、甜茶サプリメントは外出前等、花粉にさらされる前に利用することが望ましいと考えます。

2.エイコサペンタエン酸・ドコサヘキサエン酸(ω-3系脂肪酸)

エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)はすでにご存じの方が多いかもしれませんが、これらは青魚に多く含まれ、高脂血症に対する効果があることで有名です。EPA、DHAには高脂血症に対する効果以外にも様々な効果について研究されており、その中の1つにアレルギーに対する効果(抗炎症作用)があります。

EPA、DHAの抗炎症作用は2つの作用によるものと考えられています。1つ目はEPA、DHA由来のレゾルビン、プロテクチンと呼ばれる抗炎症性の代謝物によるものです。レゾルビン、プロテクチンは近年になって注目されはじめた物質であり、新たな抗炎症性物質として注目されています。

2つ目は炎症を引き起こす物質であるプロスタグランジンE2、ロイコトリエンの産生を抑制する効果によるものです。この炎症を引き起こす2つの物質はω-6系脂肪酸であるアラキドン酸から産生されますが、EPAやDHAがこのアラキドン酸の代謝と拮抗し、産生を抑制します。 なお、アラキドン酸からプロスタグランジンE2を産生するために働く酵素がシクロオキシゲナーゼであり、さきほど紹介した甜茶はこの酵素の働きを阻害します。よって、甜茶とEPA、DHAを組み合わせることで、より高い効果が望めると考えます。

3.シソ

普段の食事においても口にすることがあるシソにもアレルギーに対する効果があります。サプリメントではシソの葉より、シソの実の成分を抽出したエキスがよく使用されていますが、アレルギーに対する効果を持つ成分は葉よりも実に多く含まれていると考えられています。

シソの実のアレルギーに対する効果は、EPA・DHAと同様に炎症を引き起こす物質であるロイコトリエンの産生を抑制する作用によるものですが、EPA・DHAの作用機序とは異なります。EPA・DHAがアラキドン酸の代謝と拮抗することでロイコトリエンの産生を抑制するのに対し、シソの実はアラキドン酸からロイコトリエンを産生するために働く酵素であるリポキシゲナーゼを阻害することにより、ロイコトリエンの産生を抑制します。

また、シソの実にはヒスタミンの分泌を抑制する作用もあり、アレルギー症状の緩和だけでなく、花粉にさらされる前に利用することで予防効果も期待できると考えます。

4.ケルセチン、ヘスペリジン

ケルセチン、ヘスペリジンは近年、抗酸化作用を持つことで注目を集めているフラボノイドの1種で、ケルセチン、ヘスペリジンはビタミンPとも呼ばれることがあります。ケルセチンを含むサプリメントにはたまねぎの皮を乾燥し、粉末状にした原料がよく使用されています。ヘスペリジンを含むサプリメントには完熟する前のみかんを乾燥させ、粉末状にした原料がよく使用されています。ケルセチン、ヘスペリジンのアレルギーに対する効果は3つの作用によるものと考えられています。

1つ目は甜茶、シソと同様、アレルギー症状を発現させる物質である「ヒスタミン」の分泌を抑制する作用が挙げられます。

2つ目にシソと同様、炎症を引き起こす物質であるロイコトリエンの産生を抑制する作用が挙げられます。よって、甜茶とEPA・DHAの組み合わせと同様に、ケルセチン・ヘスペリジンとEPA・DHAを組み合わせることで、より高いロイコトリエンの産生抑制作用が望めると考えます。

3つ目に血管透過性の抑制作用が挙げられます。血管透過性とは高分子のタンパク質や血球など、大きいものがどのくらい血管外へ出ていけるかを示すものです。通常の状態では、高分子のタンパク質等の大きい物質は血管外に出ることはありませんが、ヒスタミンはこの血管透過性を増加させる作用があり、血液内のタンパク質等の物質と共に白血球が血管外へ出てしまい、結果として炎症を引き起こします。ケルセチン・ヘスペリジンはこのヒスタミンによる血管透過性の増加を抑え、白血球等を血管外へ出さないことで炎症の発生を防ぎます。

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