花粉症の治療と花粉対策について

寒い冬も終わりが近づき、暖かい春が待ち遠しく感じますが、春が近づくにつれて心配になるのが花粉症です。環境省は、2月上旬頃からすでに一部の地域ではスギ花粉が飛散し始めたと発表しています。今年の花粉の飛散量は、飛散量が多かった昨年よりは少ないものの、平年(2008~2013年の平均飛散量)と比べて1割程多いと予想されています。花粉症で悩まないためには、適切な治療の他、日常から花粉対策を行うことが重要です。そこで、現在の花粉症の治療や、日常で行える花粉対策について紹介したいと思います。

1.花粉症の治療
花粉症の治療は、花粉症の症状を抑えることを目的とした対症療法と、花粉症の根治を目的とした根治療法の2つにわけることができます。この2つの治療において、具体的にどのような治療があるかを紹介したいと思います。

1.1. 対症療法
 1.1.1. 薬物療法
現在市販されている医薬品は、主に下記①~③の作用によって鼻づまり等の花粉症の症状をやわらげます。医薬品によって作用機序が異なるため、症状にあった医薬品を適切に使い分けることにより、より症状を抑えることができます。

  1. 花粉症などのアレルギー疾患で増加する肥満細胞の活性を抑制する。
  2. 肥満細胞から症状の原因となる物質(ヒスタミン、ロイコトリエン等)の放出を抑制する。
  3. 症状の原因となる物質が神経や血管に作用するのを防ぐ。

また、症状がひどくなってから医薬品を服用する方も多いかと思いますが、花粉症の症状がひどくなる前に医療機関を受診し、花粉症のシーズンの1~2週間程前から自分の症状にあった医薬品を服用することが望ましいと考えます。

1.1.2. レーザー手術などの手術療法
鼻づまりの症状が強い人に対しては、手術により、鼻の粘膜(下鼻甲介)を切除して小さくするといった治療方法もあります。近年では、出血がなく、外来でできるレーザー手術が広く普及しています。レーザー手術ではアレルギー症状を起こしている部分の粘膜にレーザーを照射し、表面を変質させることで鼻づまりの症状を抑えます。ただし、症状が再発することもあり、レーザー手術の効果は半年~2年程度であることが多いといわれています。

1.2. 根治療法(減感作療法)
減感作療法は花粉の抽出液を注射等で投与し、花粉に対する免疫を得る方法です。症状を抑えるのみの対症療法と異なり、花粉症の原因を改善するため、根治が期待できることが大きな違いです。減感作療法は、治療を2年間以上続けた後に中止した場合において、約7割の患者で効果が持続するなど、高い治療効果が示されています。 しかし、減感作療法は花粉症の根治が期待できる一方、治療期間が長いことや、定期的な通院が必要である他、治療中にごく稀ですが重篤な副作用(アナフィラキシーショック等)を起こす可能性があるといったデメリットもあります。これらのデメリットもあり、日本での実施数は欧米に比べて低く、減感作療法が実施可能な施設も限られているのが現状です。
このような状況の中、2014年1月に舌下投与用のスギ花粉の減感作療法薬が承認されました。まだ保険の適用となっていませんが、注射による投与と比べて簡便であるため、減感作療法が日本でも普及するのではないかと期待されています。

2.花粉対策
花粉症の症状を抑えるためには、医薬品等の効果に頼るだけではなく、日常生活において可能な限り花粉を体内に入れない努力をすることも重要です。ここでは日常生活でできる花粉対策を紹介したいと思います。

2.1. マスク、メガネをする
花粉対策として既にマスクを着用している方も多いのではないかと思います。マスクは有効な花粉対策であり、通常のマスクでも着用していないときに比べて鼻に入る花粉数を7割程度減らすことができます。 また、メガネも有効な花粉対策であり、通常のメガネでも眼に入る花粉数を4割程度減らすことができます。

鼻の中と眼に入る花粉量 -実験的なマスク、メガネの効果

 
鼻の中の花粉数
結膜の上の花粉数
 マスクなし、メガネなし 1848 791
 通常のマスク、通常のメガネ 537 460
 花粉症用のマスク、花粉症用のメガネ 304 280

日本医科大学耳鼻咽喉科 大久保 公裕(2011)「的確な花粉症の治療のために」p.13

2.2. 屋内に入る前に衣服や髪を払う
屋外で活動している間に衣服や髪に花粉が付着します。そのまま屋内に入ると、衣服や髪に付着した花粉も屋内に入りこんでしまいます。屋内に入る前に衣服や髪を払い、また、入室後に洗顔、うがいをし、さらに鼻をかむことで体内に入る花粉の量を減らすことができます。

2.3. ウールなど花粉が付着しやすい服は避ける
衣服の素材によっては花粉が付着しやすいものがあります。ウールのように毛足の長いものは花粉が付着しやすいため、花粉の飛散量が多い日は特に避けた方がよいでしょう。ダウンジャケットのような生地のように表面がつるつるとした服は花粉が付着しにくいので、一番外側に着る服としてお勧めです。

2.4. 花粉情報に注意する
さきほども少し紹介しましたが、環境省では花粉の飛散状況等の情報をホームページで公開しています(環境省花粉情報サイト:http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/)。花粉情報をこまめに確認し、飛散量の多い日は不要な外出を控えたり、屋内にいる際も窓を閉めたりすることが重要です。

これから花粉の飛散量が増えてきますので、既に花粉症に悩まされている方は特に早い時期から対策を行うことが重要です。また、ここで紹介した花粉対策と併せて、以前掲載しましたTopics「花粉症(アレルギー)について」にて紹介させていただいた、アレルギーに対して効果が期待される食品・成分を積極的に取り入れることも効果的と考えます。

Tags